特集 秘密保護法
安倍政権が秘密保護法案の成立を目論む臨時国会が、10月15日に開会した。衆議院第一議員会館では、「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案に反対する院内集会」と題した集会が行われ、約220名の参加者が詰めかけた。国会議員や弁護士、大学教授など、各界から秘密保護法案への反対の声があがった。
「核開発は、最も重要な秘密として扱われるかもしれない」
日本弁護士連合会・前事務総長の海渡雄一弁護士は、秘密保護法について「軍事情報が秘密とされると、歯止めがきかなくなる可能性がある」と指摘。さらに海渡氏は、「日本政府は40トンを超えるプルトニウムを保有している。仮に、政府が核兵器開発を行おうとした場合、最も重要な秘密として扱われるかもしれない」と語り、「そうなると、国民が知らないうちに日本は核兵器保有国となってしまう」と、秘密保護法制定による危険性を解説した。
ほとんど解除されない「防衛秘密」
特定非営利活動法人・情報公開クリアリングハウスの三木由希子理事長は、「秘密」こそ民主的に管理されるべき、と主張した。自衛隊、防衛省の保有する情報のうち、特に秘匿する必要のある情報は、自衛隊法によって「防衛秘密」に指定される。三木氏の調べによると、2007年~2011年における防衛秘密の指定数は、約55,000件で、この期間に廃棄された防衛秘密の数は、約34,300件にのぼるという。
また、同期間中に防衛秘密の解除が行われたのは、1件のみ。三木氏は、「秘密」が「秘密」のまま廃棄されることについて、「ブラックボックスではなく、ブラックホールになってしまう」と警鐘を鳴らした。
「秘密」と「非公開」は異なる
加えて三木氏は、「秘密」と「非公開」の違いについて解説した。「非公開」は、情報公開請求によって公開させられることもでき、制度を使って壁を破ることができるが、「秘密」は公開が前提とされておらず、「壁を叩くこと自体が問題視される」のだという。(IWJ・須原拓磨)
■ダイジェスト動画
・基調報告「市民の生命と安全を脅かす秘密保護法案-厳罰化と処罰の早期化-」
海渡雄一氏(日弁連秘密保全法案対策本部委員)
・特別報告(予定) 「歴史の闇に消される秘密文書」
三木由希子氏(情報公開クリアリングハウス 理事長)
・リンク ブーゲンビリアのきちきち日記
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